|コラム#9|不登校:親が活用できる安心の相談場所と社会資源

|コラム#9|不登校:親が活用できる安心の相談場所と社会資源

はじめに

 こんにちは、いまにしこころの相談室の今西です。

 前回は、お子さんが不登校やひきこもりの状態になる中で、親ができるかかわり方と小さなステップについてお話しました。

●家を安心できる環境にする

●元気をためる

●安全を確認しながら小さな成功体験を積む

今回は、専門家や地域の社会資源の活用、そして親が元気になる大切さについてまとめていこうと思います。

家族だけではなく、専門家を活用しましょう

 お子さんが学校に行きづらくなる理由はさまざまです。「学業のつまずき」や「友人関係」、「心身の疲れ」など様々な原因が影響しています。

 そんなときは、普段お子さんを見ていない専門家に話を聴いてもらうことはとても大切です。

専門家に相談するメリット

客観的な視点:家庭や学校での関わり方を、客観的に整理できる
安心感の回復:一人で抱えなくてよいという気づきが得られる
支援のつながり:学校や地域、医療との橋渡しがスムーズになる

 そのため「親の気づきにくい部分を知ることができる」「新しい見方ができるようになる」といった、どう対応すればよいかの手がかりを知ることができます。

💡親が安心して相談できることは、結果として子どもの安心感にもつながります

家族だけでなく、みんなで支えましょう

 学校や地域には、お子さんや親を支えるさまざまな制度や場があります。これらを知っておくことで、いざというときに頼れる選択肢が増えます。


社会資源(地域の支援制度)

• フリースクール:学校に通うことが難しいお子さんが少人数で学習や生活を体験できる場です。学習支援のみではなく、居場所づくりや友人関係のサポートも行っています。

• 教育支援センター
 教育委員会などが設置する公的な施設。学習の遅れや不登校傾向のある子どもが自分のペースで学習できる施設。安心して過ごせる居場所としても利用できます。

• スクールカウンセラー、巡回相談員
 心理士や相談員が学校でお子さんの気持ちや学校生活の悩みを聴き、整理を手助けします。お子さんに関わる内容であれば、親の相談も可能です。

 家庭での関わり方や支援方法のアドバイスを受けることができます。学校によって来る曜日が決まっていますので、担任の先生に相談し、予約する必要があります。料金はかかりません。

地域の子育て相談や親の会
 同じ悩みを持つ親同士で情報交換や相談ができる場です。孤立しやすい子育ての中で安心感を得られるだけでなく、最新の制度や支援情報を得ることもできるかもしれません。
 先輩お母さんのお話を聞くことで、これから先の見通しや、今の子どもとのかかわり方など知ることができる場合もあります。

 これらの場は、お子さんのためだけでなく、親自身の安心感を支える手段として活用できます

 必ず利用しないといけないわけではありません。しかし必要なときに使える場として知っておくことは大切かもしれません。

一番大切な支援は親が元気なこと

 お子さんが元気になっていくためには、親が元気であることが大切です。お子さんの中には、親が元気になったら、自然と学校に行けるようになる子どももいるくらいです。

 「子どもが学校に行っていないのに、元気になれるわけがない」と思われる方もおられるかもしれませんが、専門家や社会資源を活用すると、少し支えてもらえる感覚がうまれ、こころに少し余裕が生まれやすいのです。

 その余裕をぜひ親が元気になるために活用されるといいかもしれません。

親が元気になるアイデア

• 完璧にやろうとしない。50~60点で十分
• 1日10分でも「自分の時間」をつくる(散歩、カフェなど)
• 「お子さんと一緒に過ごす時間」を楽しむ
• 「今できていること」に目を向ける
• 夫婦や家族内で“気持ちの共有”をする
• 同じ経験をした人の話を聞く(ピアサポート・SNSコミュニティなど)
• 専門家に話を聴いてもらう

親の気持ちが少し落ち着くと、自然と子どもの様子にも変化が見えやすくなります。

「子どもの支援」と「親の支援」はつながっています。

おわりに

 今回は「不登校:親が活用できる安心の相談場所と社会資源」についてまとめてみました。

 がんばる親ほど、お子さんのことを第一に考え、「親が支援を受けるのは申し訳ない」と思ってしまいやすい場合があります。

 しかし、子どもの不登校やひきこもりは、親だけで抱えるにはあまりに大きなテーマです。

・家族みんなが安心できる時間を持つこと 
・親が安心して支えられること

 これが、子どもにとっての「安心できる環境」を広げることにつながります。

 当相談室でも、親が安心して話せる場を提供しています。お子さんがお話できない場合でも、親が話して見方が変わったり、元気になることで、お子さんが学校に戻れる場合もあります。

 まずは、ひとりで抱え込まず、どこかつながるところから始めてみましょう。

 最後までご覧いただきありがとうございます。

いまにしこころの相談室
代表 今西 広嗣

参考文献・ホームページ

不登校のこどもへの支援については、これまでも文部科学省による取組が進められてきました。不登校の背景には、様々な事情が複雑に関係している場合があるため、学校・教育…
www.cfa.go.jp
厚生労働省が運営する、全国のひきこもり当事者・家族・支援者の声をみんなにシェアするWEBコミュニティーです。
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